犬にイカ、タコ、エビ、カニを食べさせてはいけない、という話を聞いたことがあるでしょうか?
正しくは「犬に生のまま食べさせてはいけない」のですが、なぜ肉食寄りであるはずの犬がこれらを生で食べられないのでしょうか?
今回はイカ、タコ、エビ、カニを生で食べさせてはいけない理由と正しい与え方を解説していきます。
犬にイカ、タコ、エビ、カニを食べさせてはいけない理由
肉や魚を食べられる犬がなぜイカやエビは駄目なのか。
その理由を3つに分けて解説していきます。
理由その1.消化不良を起こすから
イカやタコは犬にとって消化のしにくい部類に入ります。
消化されずに便と一緒に出てくるだけならいいのですが、下痢や嘔吐といった症状が現れることもあり、「そういったリスク回避のため」というのが1つ目の理由です。
理由その2.ビタミンB1欠乏症になるから
これはイカ等に限らずですが、生の魚介類には「チアミナーゼ」という酵素が含まれていて、この酵素は体内のビタミンB1を破壊するはたらきを持っています。
生の状態で大量に食べると「ビタミンB1欠乏症」となり、嘔吐や食欲不振から体重が減ったり、重症になると脱水やふらつきなどの症状が現れることがあります。
少量であれば問題はないとされていますが、この「少量」の定義があいまいで、何gまでなら大丈夫、と明確に書かれた資料がありません。
体の大きさや体質、体調などにも左右されると思われ、結局どれぐらいの量食べれば危険なのかがはっきりしないため、食べさせないほうがいいと言われています。
理由その3.血液の成分が違うから
イカやカニの血液が青いという話はご存知でしょうか。
まず、人間や犬猫の血が赤いのは、ざっくり言うと赤血球中のヘモグロビンが鉄分を含んでいるからなのですが、対してイカやエビにはそもそも赤血球というものが存在せず、血液中には鉄ではなく銅が含まれています。
血液が青いのはこの銅が酸素と結びついて変色した結果起こります。
そしてこの銅が徐々に体内にたまり、代謝しきれなくなると「銅蓄積症」を発症します。(人間で言うウィルソン病)
銅蓄積症は黄疸や元気消失、食欲減退、嘔吐などを引き起こす肝障害ですが、ある程度遺伝的要因もあるとみられ、発症しやすい犬種というのが存在します。
注意
また、ドーベルマン、コッカ―スパニエル、スカイテリア、ワイアーフォックステリア、エアデールテリア、ダルメシアン、ケリーブルーテリアなどの犬種も、銅との関係は研究段階ながらも肝障害を起こしやすいので注意が必要です。
また、血液の色素が異なる動物を摂取することでアレルギーを起こしやすくなるとの指摘もあり、「犬にイカやエビを食べさせてはいけない」と言われる理由となっています。
犬にイカ、タコ、エビ、カニを与えるなら?するめやえびせんは?
ここまでイカ類を犬に与える危険性ばかり書いてきましたが、疲労回復に役立つ「タウリン」や脂肪を排出する「キチンキトサン」など、これらを食べることで得られるメリットがあることも確か。
「ビタミンB1欠乏症」を起こさせるチアミナーゼは熱に弱い性質があるので、与えるときは必ず加熱してから与えてください。
また、消化のしやすさを考えて内臓や殻は完全に取り除き、柔らかい身の部分だけを与えるようにします。
ただし、やはり積極的に与えたい食材とは言えませんので量はほんの少しに留めておいてください。
また、人間用に味付けされた「えびせん」や「するめいか」、「カニカマ」は、塩分が濃いので犬の腎臓や心臓に大きな負荷がかかることが予想されます。
必ず犬の手の届かない場所に保管するなどしてください。