犬はもともとよく吐く動物ですが、嘔吐物の色で異常がどこにあるのか、また緊急性の有無などをある程度知ることが出来ます。
ここでは犬の嘔吐物が透明、白色、黄色、緑色、赤色、茶色、黒色であった場合についての原因と対策、症状別で考えられる病気を詳しく解説しますが、まずは簡単に様子見と緊急性を知っておいてください。
どのケースにも共通して言えることは、毎日のように何度も繰り返し吐いて止まらない場合や、元気・食欲がない、吐血している、ふらつきがあるなどほかの症状を伴うときは、様子見をするのではなく可能な限り早く獣医さんに見せることが大切です。
犬が吐いた色と緊急性
- 透明、白い泡……胃液、様子見でよい
- 黄色い……胆汁、様子見でよい
- 黄緑、緑色……酸化した胆汁、様子見でよい
- 赤……比較的新しい血、動物病院へ行く
- 茶色…ある程度時間が経った血、早急に動物病院へ行く
- 黒色……かなりの時間が経った血、早急に動物病院へ行く
犬がゲロした嘔吐物はすぐに捨てたり洗ったりしてしまわずによく観察することが大切です。
犬の「吐く」は大きく分けて2つに分類(吐出・嘔吐)
犬の「吐く」は大きく分けて2つに分類されます。
まず1つは、【吐出(としゅつ)】もしくは【吐き出し】と呼ばれるもので、食べ物が胃に入る前に何らの原因によって逆流し吐き出してしまうことを言います。
特徴としては食べた直後に勢いよく吐き、吐いたものは未消化で、食べたドッグフードがそのままの形をしていることが多いです。
また、食道の形に沿って細長い形をしていることもあります。
そしてもう1つは【嘔吐】と呼ばれるものです。嘔吐は胃で消化されたものを吐き出すことを言い、吐くときは体を波打たせるような動作(吐く前兆)があります。
「吐き出し」は前に向かって吐くのに対し、「嘔吐」は下を向いて吐くのが特徴です。
まずは「吐き出し」か「嘔吐」かを見極めることが大切です。
犬が吐く頻度・タイミングも大事な判断材料に
犬が吐いた時、動物病院へ連れていくべきか、しばらく様子を見ていいのかどうかは多くの飼い主さんが悩むところだと思います。
その判断の際、吐いた回数や吐いた時間帯がカギとなります。
まず嘔吐回数ですが、血が混ざっていない限り1度吐いたぐらいでは病院に連れていく必要はありません。
危険なのは頻繁に吐いたり、嘔吐が何日も続いているときです。
そして血が混入しているときも重大な病気が隠れている可能性がありますので、出来るだけ早く獣医さんに診せてください。
次にタイミングですが、いつ吐くのかによってそれぞれこんな病気が疑われます。
- 食べてすぐに吐く場合
>>巨大食道症、食道狭窄、食道痙攣など - 食べてしばらくしてから吐く
>>胃腸炎、レプトスピラ症、肝疾患、幽門疾患など - 吐き気はあるのに吐けない
>>フィラリア、心臓病、胃捻転、十二指腸潰瘍など
犬が吐いた嘔吐物の色と時間で原因を見分ける
「犬が吐いた」と一口に言っても、吐いた時間や頻度や色、吐き方や吐いたあとの様子はみんなそれぞれ違います。
「赤い血を吐いたんだけど…」「下痢もしているけど何かの病気?」
体のどこに異常があるのかは、吐いたものの色を見ることで大まかに予測することが出来ます。
下痢や食欲不振、発熱や血尿、震えはありませんか?
犬が吐いたときは他の症状が出ていないかも注意深く観察してください。
犬が吐いた色が透明、白い泡の場合の原因と対策
犬のゲロした嘔吐物が白っぽいとき・泡立っているときの正体は『胃液』です。無色透明の液体で、白く泡立っていることもあります。
ほとんど臭いがしないことも特徴の一つです。
口元に多少の泡があっても、元気な様子であればさほど気にすることはありません。
口の中をすっきりさせるためにと水を与え過ぎてしまうと、繰り返し嘔吐を起こす原因となります。
原因としてはストレスや食べ過ぎ、空腹時間が長いことなどが挙げられ、胃酸が過剰に分泌されて食道へ逆流することによって起こります。
原因の一つ空腹嘔吐とは
空腹嘔吐とは文字の通り、胃の中が空の状態が長時間続くことで、胆汁が胃に逆流してしまい、嘔吐を引き起こしてしまうことを指します。
例えば長時間のお留守番で食事が与えられなかったとか、そもそも食事の量が少な過ぎることで透明や白っぽく泡立った感じの物を吐きます。
或いはダイエットのための減量なども原因かもしれません。
ただし、繰り返し何度も吐いたり、下痢や腹痛を伴うなど他の症状があれば病院へ行くようにしてください。
空腹嘔吐の対策
- 食事の量を見直す
- 空腹時間を減らすため、食事の回数を増やす
- 腹持ちの良い食事を与える…など
散歩の時間を変えただけでも吐かなくなったり、あるいは吐くようになる場合もあります。
ストレスが原因の場合
犬が運動不足に陥ると、ストレスで無駄ぼえが多くなったり、自分の尻尾を追い掛けてくるくる回り出したり、やたらと体の1カ所をなめ回したりする傾向があります。
犬が舌を出して「はぁはぁ」しているのは、体温調整をしようとしているからです。
飼い主が気付いてあげなければ、犬は言葉にできません。
犬が出すストレスからくる信号を見逃さず、ストレスの無い環境を作りましょう。
ストレスが原因の場合の対策
- 適度な運動や遊びでストレスの要因を取り除いてあげる
- 気温調整をする
- 飼い主の自分本位なペースで接しない
愛犬は言葉には出せないので、飼い主は愛犬の空腹やストレスに気付いてあげることが大切です。
犬が吐いた色が黄色い場合の原因と対策
犬が吐いた黄色い嘔吐物の正体は『胆汁』です。泡が混じっている場合もあります。胆汁はツーンとした刺激臭がします。(生臭いにおい、と表現する人も)
原因としては食べ過ぎや空腹時間が長いことが挙げられ、胆汁が胃のほうへ逆流した刺激で嘔吐します。食欲や元気はあるのに空腹のときだけ吐く症状のことを「胆汁嘔吐症候群」と言います。
前回の食事から時間が空くと吐いてしまうため、朝起きてすぐ、または夜ご飯前に嘔吐することが多いです。
吐いた色が黄色い場合の対策
- 腹持ちの良いもの(さつまいもなど)をおやつに与える
- 1回分の食事量を減らし、そのぶん回数を増やす…など
一過性のもので吐いたあと食欲や元気があるようなら病院へ行く必要はありません。
1日に何度も吐いたり吐き方が激しい場合はただの嘔吐ではない可能性が考えられるので、早急に病院へ連れて行ってください。
犬が吐いた色が黄緑~緑色の場合の原因と対策
犬が吐いた緑色の嘔吐物の正体は『胆汁』です。
上の項で述べたように、通常胆汁の色は黄色なのですが、空気に触れて酸化すると黄緑~緑色に変色します。
嘔吐の原因や対策の仕方などは上の項と同じく、食べ過ぎや空腹時間が長いことが挙げられ、胆汁が胃のほうへ逆流した刺激で嘔吐します。
食欲や元気はあるのに空腹のときだけ吐く症状のことを「胆汁嘔吐症候群」と言います。
前回の食事から時間が空くと吐いてしまうため、朝起きてすぐ、または夜ご飯前に嘔吐することが多いです。
吐いた色が黄緑~緑色の場合の対策
- 腹持ちの良いもの(さつまいもなど)をおやつに与える
- 1回分の食事量を減らし、そのぶん回数を増やす…など
一過性のもので吐いたあと食欲や元気があるようなら病院へ行く必要はありません。
1日に何度も吐いたり吐き方が激しい場合はただの嘔吐ではない可能性が考えられるので、早急に病院へ連れて行ってください。
犬が吐いた色が黄土色、茶色、黒色、赤い場合は至急動物病院へ
犬が吐いた【薄い赤色、鮮やかな赤色、薄い茶色、こげ茶色、黒色】などの嘔吐物は、すべて体内のどこかから出血している可能性を示しています。(=吐血)
濃い赤色であれば胃内部からの出血の疑いがあり、考えられる病名としては急性胃炎、胃潰瘍、悪性腫瘍(ガン)などがあります。
茶色(コーヒー色、こげ茶色、黄土色)、黒い嘔吐は出血からある程度の時間が経っていることを意味しています。
この場合かなり緊急性を要しますので、様子見などはせず可能な限り早く動物病院へ行くことをおすすめします。
犬の吐き出し(吐出)の場合に考えられる病気一覧
「吐き出し」は前に向かって吐くという特徴があり、食べた直後に勢いよく吐き、吐いたものは未消化で、食べたドッグフードがそのままの形をしていることが多いです。
よだれや食欲不振を伴う勢いがある吐き出し
「巨大食道症(食道拡張症)」は、食後数分~数時間で食べたものを勢いよく吐きだすのが最大の特徴で、よだれや食欲不振を伴うこともあります。
犬の食道が何らかの理由により拡張し、食べたもの・飲んだものを正常に胃に送り込めなくなる病気です。
また、うまく飲み込めないことから十分な栄養が摂れず、次第に体重が減少していきます。
そしてこの巨大食道症を発症した約65%の犬が、食べ物が胃ではなく肺の方に流れてしまう「誤嚥性肺炎」を併発します。
よだれや咳を伴う吐き出し
「吐き出し」「よだれ」「咳」といった症状の場合、食べ物や異物によって犬の食道が完全にふさがり、食事が出来なくなった状態で「食道梗塞」が疑われます。
犬は喉を通るサイズのものは丸吞みしてしまう習性があるため、こういった誤飲事故は珍しくありません。
一方、ふさがり方が不完全な場合には食後しばらくたってからの嘔吐など一見詰まっているようには見えないこともあり、獣医さんでないと判断が難しいこともあります。
子犬が離乳して固形物に変えた途端に吐き出す
今までミルクを飲んでいた子犬が離乳をし、固形物に変えた途端に吐くようになると「右大動脈弓遺残症」が疑われます。
犬が母親のおなかにいるときに大動脈が正常に発達しないことで起こる先天性心疾患です。
食べては吐くを繰り返すため体重が減少し、また食べ物が肺に流れてしまうことで「誤嚥性肺炎」を起こして死に至る子も少なくありません。
犬の「嘔吐」の場合に考えられる病気一覧
「吐き出し」は前に向かって吐くのに対し、「嘔吐」は下を向いて吐くのが特徴です。
嘔吐は胃で消化されたものを吐き出すことを言い、吐く前兆として、体を波打たせるような動作があります。
嘔吐物や便の中に血が混じる
犬の嘔吐で一番最初に考えられる病気は「胃潰瘍」です。
胃の出血により、嘔吐物や便の中に血が混じることもあり、他には発熱、食欲不振、腹痛、体重減少などが見られます。
犬の胃が胃酸やペプシンにより胃粘膜が傷つき、ひどくなると胃に穴が開くときもあります。
突然の激しい嘔吐を何度も繰り返す
現れる症状は原因が何かによって違ってきますが、共通するのは突然の激しい嘔吐を何度も繰り返すのであれば、「急性胃炎」の疑いがあります。
急激に起きた犬の胃内部の炎症の総称。原因は多岐にわたり、腐敗した食べ物や水、有害な植物や毒物の摂取、または薬剤や寄生虫、ウイルス性疾患、細菌性疾患、ストレス等で発症します。
嘔吐や食欲不振、体重減少、なんとなく元気がない
急性胃炎同様、原因にもよりますが、嘔吐や食欲不振、体重減少、なんとなく元気がない場合、「慢性胃炎」が疑われ、犬が慢性的に胃が炎症を起こしている状態のことです。
また、おなかを触られるのを嫌がったり、粘膜にひどい炎症が起きていると血を吐いたりすることもあります。
吐こうとしても吐けない状態(空嘔吐)になりヨダレをダラダラ流す
食後2~5時間程で突然犬のお腹が膨らんできて、吐こうとしても吐けない状態(空嘔吐)になりヨダレをダラダラ流すのは「胃捻転・胃拡張」が疑われます。
読んで字のごとく犬の胃がねじれたり広がったりする病気で、胸が深い犬種(シェパード、ドーベルマン、ボルゾイ等)に多く発症します。
またおなかを触られるのをとても嫌がります。胃捻転も胃拡張もどちらも急激に悪化して、放置すれば死に至ります。
嘔吐と食欲不振、腹痛で元気がなくなる
詰まった場所や程度により症状は異なりますが、元気がなくなる、食欲不振、嘔吐、腹痛が「腸閉塞(イレウス)」の一般的な症状で、何らかの原因により食べ物が犬の腸管内を通過できなくなった状態です。
腸が完全にふさがっていない限りはなんとか排便は可能ですが、完全にふさがってしまうと命の危険すらあるため早急な処置が必要です。
嘔吐や食欲不振、腹痛、腹部の膨らみ、ショック症状
嘔吐や食欲不振、腹痛、腹部の膨らみ、ショック症状などの場合に疑われるのは、「腸重積」で、犬の腸が腸の中に入り込んでしまう病気。
犬がおなかを痛めているときは前足を延ばして床に胸に付け、お尻をあげるポーズをとることが多いです(背伸びの格好)。よく観察してみてください。
嘔吐と下痢、食欲不振、腹痛、脱水症状
嘔吐と下痢、食欲不振、腹痛、脱水症状などの症状の場合、「細菌性腸炎」が疑われます。
下痢は水っぽい感じだったり血混じりだったり、縁がかった粘膜が一緒に出ることもあります。
細菌性腸炎は、細菌が原因で発症した犬の腸炎です。
飼育環境が衛生的でなかったり、汚れた餌・水を摂取することで感染します。
サルモネラ菌、カンピロバクター、カビなどが原因となる細菌として挙げられ、家に来たばかりの子犬や老犬などが抵抗力のない時に感染すると発症します。
突然の激しい出血性の下痢(血便)後に嘔吐や元気消失、食欲不振
突然の激しい出血性の”ゼリー状”や”ジャム”、”ケチャップ”のような下痢(血便)をした場合には、「出血性腸炎」が疑われます。
そして数時間の間に嘔吐や元気消失、食欲不振などが現れます。
小型犬に多い疾患で、大型犬の発症は比較的まれです。
若くて健康的な犬が突然発症し死に至ることもある怖い病気です。
現在の医学ではその原因がなんなのかはまだ解明されていません。
元気がなくなり、食べ物を一切受け付けない
元気がなくなり、食べ物を一切受け付けなくなっている場合考えられる病気は「急性肝不全」です。他にも嘔吐、下痢、発熱、黄疸(白目や歯ぐきが明らかに黄色くなる、異常に黄色い尿が出る)などの症状が現れます。
急性肝不全は、何らかの原因で犬の肝臓が機能しなくなった状態のことを言います。
一般的には肝臓の20%が生きていれば正常に機能することが出来ると言われているので、80%以上が機能しなくなってはじめて「肝不全」と呼ばれます。
原因は色々考えられますが、毒物や薬物(ステロイド、駆虫薬、雑草に付着した除草剤、鎮痛剤など)の摂取、レプトスピラ症などの感染症、貧血、熱射病、敗血症、ショックなどです。
嘔吐と下痢を同時に起こす
嘔吐と下痢を同時に起こす場合、「膵炎(すいえん)」が疑われます。
他の症状としては食欲不振や脱水症状、発熱などがあり、重症化すると嘔吐物に粘液や胆汁が混じったり、便に血が混じったりします。
また、炎症を起こしている膵臓が激しく痛むためショック状態に陥ることがあります。
膵炎とは自らの膵臓を消化してしまう病気のことを言い、中年齢の太ったメス犬に多発します。ただシュナウザーに関しては遺伝的に発症しやすいと言われています。
食欲が全くなくなり、嘔吐、下痢、元気消失といった症状
食欲が全くなくなり、嘔吐、下痢、元気消失といった症状が突然現れたなら、その後急激に悪化していく「急性腎不全」が疑われます。
急性腎不全は数日で急激に腎機能が低下する病気のことを言います。
腎臓は75%がダメになると本来尿として体外へ排出すべき毒素や老廃物を排出できなくなります。
原因がどこにあるかによっても違ってきますが、尿が少なくなったり、場合によっては全く出なくなったり、けいれんを起こす子もいます。
急性腎不全が進行すれば最終的に尿毒症とよばれる状態になります。
尿毒症とは、本来腎臓により尿中に出され、体外に排出されるはずの老廃物が血中に残っている状態です。
老廃物は脳などにも毒性があり、神経症状が現れることもあります。
ぶどうを食べてしまった場合には注意して下さい。
嘔吐と下痢、便秘、食欲低下、体重減少、毛のパサつき、視力異常
初期はほとんど無症状に近く、進行するにつれて嘔吐、下痢、便秘、食欲低下、体重減少、毛のパサつき、視力異常などが現れるのが「慢性腎不全」です。
さらに進行すると痙攣発作や昏睡状態に陥ることもあります。
慢性腎不全とは、腎臓の機能が徐々に低下していき、全体の75%の機能が失われた状態のことです。
原因は不明なことが多いですが、急性腎不全から移行したり、リンの過剰摂取、糖尿病、腫瘍、遺伝性疾患、自己免疫疾患などが考えられています。
嘔吐と下痢、食欲低下、元気消失、毛並みにツヤがなくなる
嘔吐、下痢、食欲低下、元気消失、毛並みにツヤがなくなるというような症状の場合、「尿毒症」が疑われ、進行するとけいれんや昏睡といった症状を引き起こし、最悪の場合死に至ることもあります。
尿毒症は、腎機能に異常があると尿として排出すべき毒素がどんどん体内に蓄積していき、やがて体に様々な症状が現れるようになります。
- 口内炎(舌の潰瘍など)
- 口からアンモニアの臭いがする
- けいれん
- 意識低下
など、高齢になるにつれ発症頻度は高くなっていきます。
激しい嘔吐を起こして24時間以内に下痢
激しい嘔吐を起こして24時間以内に下痢(白~黄色のこともあれば、血便のこともあり)をするようであれば、「パルボウイルス感染症」も疑いがあります。
パルボウイルスに感染した犬の便や嘔吐物に触ったり口にしたりすることで感染します。
ワクチン接種で予防できる感染症なので毎年忘れずに打ちましょう。
嘔吐と下痢、血便を伴う
40℃以上の発熱が1~2日続いたあと、充血、口内出血、下痢、嘔吐、血便などの症状が現れた場合に考えられる病気は「レプトスピラ症出血型」です。
「レプトスピラ症黄疸型」は黄疸(白目や歯ぐきが黄色くなる)、下痢、嘔吐、口内出血が突然現れ、急速に悪化していきます。
どちらの型も死亡率は非常に高いです。
レプトスピラ症は、3~4歳の若いオスに多発する非常に高い死亡率をもつ感染症で、ワクチン接種で予防することが出来ます。
嘔吐、下痢(水っぽいもの、もしくはオレンジ色の軟便)、元気消失、食欲低下
嘔吐、下痢(水っぽいもの、もしくはオレンジ色の軟便)、元気消失、食欲低下などの症状がある場合、「コロナウイルス感染症」の疑いがあり、まれに便に血や緑色の粘膜が混じることもあります。
コロナウイルスに感染した犬の便の臭いをかいだり触れたりすることで感染します。
成犬が感染しても症状が出ることはめったにありませんが、免疫力の低い子犬が感染すると重篤な症状を起こすことがあります。これもワクチンで予防できる病気ですので毎年打つようにしましょう。
初期には目立った症状がない病気
慢性肝炎
慢性肝炎は、犬の肝臓が慢性的に炎症を起こしている状態を言います。
初期のころはこれと言って特徴的な症状がなく、「なんとなく元気がない」「食欲がない」と言った感じなのでどうしても見過ごしてしまいがちです。
進行するにつれておなかに水が溜まる「腹水」や白目や尿が明らかに黄色くなる「黄疸」が症状として現れ始め、死に至ることもあります。
原因は薬物・毒物の長期的な摂取や感染症、免疫障害あなどが挙げられます。
肝硬変、肝繊維症
「肝硬変」「肝繊維症」は、肝不全と同じで初期では目立った症状はありません。
緩やかな体重減少や食欲不振が見られるくらいでしょう。
飼い主が腹水や黄疸、血便といったパッと見てわかる症状に気付いた時には病状がかなり進行してしまっていることがあります。
慢性的に犬の肝臓が炎症を起こしていると犬の肝臓はしだいに繊維化し、やがて肝硬変になります。肝硬変が全体に広がり、正常にはたらける肝臓が20%以下になると「肝不全」と呼ばれるようになります。